2023/11/29 18:16

Cordeliaでは、オトミ刺繍によるクッションカバーを常時販売しています。店主が刺繍好きというのもありますし、その刺繍の中でもオトミは格別に魅力的です。アート作品のように美しく、パワーがみなぎるこの刺繍について、詳しくお伝えします。



【オトミ刺繍とは?】
オトミ刺繍は、"Tenangos"としても知られている、メキシコの伝統的な刺繍スタイルの名前です。鮮やかな色彩と、独特の花や動物のデザインを特徴としています。主に、メキシコのイダルゴ州テナンゴ・デ・ドリアを中心に、オトミの先住民族の方々が、伝統的な技法を守って製作しています。

【オトミの人々について】
オトミの先住民族は、主にイダルゴ州テナンゴ・デ・ドリアに住んでいますが、その他の地域にも散らばっています。古いメソアメリカ文化のうちの一つで、オトミには約30万人の人々がおり、主に4つの主要な言語が話されています。
イダルゴ州テナンゴ・デ・ドリアは、山々のある高地です。

【オトミ刺繍の歴史と文化的背景】
1960年代に干ばつが発生した際、テナンゴ地方の人々は経済的に非常に困窮してしまいました。その時、オトミ刺繍の元となる、"Tenango"「テナンゴ」が開発されました。この時、テナンゴ・デ・ドリアのSan Nicolasコミュニティが、干ばつからの復興・経済発展のために、ブラウスやテーブルクロス、ナプキンなどを作り始めたのが、オトミ刺繍の始まりとされています。

【オトミのデザイン:モチーフとシンボル】
オトミ刺繍のデザインのインスピレーションは、古くは洞窟画やアマテペーパーのカットアウトに由来しています。オトミ地域固有の植物や動物にも基づいており、鹿、鳥、ウサギ、蝶などの動物・昆虫が主なモチーフとして使用されています。とても鮮やかな色の組み合わせ、エネルギッシュな動植物の表現が特徴で、動物以外にも日常生活、宗教、守護聖人の祭り、カーニバル、死者の日、収穫などがモチーフになることもあります。







【オトミのステッチ:ブラインドステッチ】
オトミのデザインは、鉛筆などアナログな方法で、下絵から布へ縫う位置をトレスすることが多いです。オトミ刺繍では、「ブラインドステッチ」という技法が使用されています。このステッチは、生地の表面のみに糸が見え、裏側の糸は見えないというものです。この方法では、糸が節約され、裏側も美しい処理になる特徴があります。



【現代のオトミ刺繍】
今もなお、多くの製品がオトミスタイルの刺繍で作成されています。現地では伝統工芸品として制作され、販売されているほか、テナンゴ以外の場所や、刑務所の手工芸プログラムでも取り組まれています。
2011年に、エルメスがメキシコ・オトミをテーマにしたカレ(スカーフ)を制作したことで、オトミ刺繍は広く有名になりました。ですが、欧米のブランドがメキシコの伝統工芸品であるオトミ刺繍を、彼らのマーケティングに使用することは、文化盗用(cultural appropriation)の指摘も受けています。


Cordeliaでは、現地の先住民族の方々が、その伝統的な手法でハンドメイドで制作したものだけを販売しています。メキシコより直接、空輸で送ってもらっています。実物は、本当に息を飲む美しさです。ぜひご家庭のインテリアの仲間に入れてあげてください。








参考:
https://es.wikipedia.org/wiki/Tenango_(bordado) 他